先日、嫁の新車(N-BOX)が納車されまして、自動車祈祷の為に愛知県犬山市の成田山へ行ってきました。
犬山というと、日本モンキーパークやリトルワールド、国宝・犬山城など
様々な観光資源がありまして、過去にも何度か足を運んだことがあるんですが
そこへ向かう途中、ひときわ目を引くとんでもない存在感を放つお店があります。
情報量が多すぎて何の店なのか全くわからん
以前までの僕なら、あまりの怪しさに近づこうなんて思いもしないんですが
ブログを始めた今の僕としては
「いいネタになりそうだな…よっしゃ」
ってなワケで後日、高校時代の友人Mを捕まえて、行ってみることにしました。
パブレスト百万ドル
これがお店の名前みたいです。
店名からして何なのか分からないんですが、どうやらここはカフェらしいんですよ。
まずは外観を堪能せよ
お店の駐車場側から見た外観です
タカラジェンヌが描かれています。
そこから左へ目を向けるとオリンピック・パラリンピックとワールドカップの共演
右へ目を向けるとこんな感じ。
「VIPから来ました。」に反応してしまう辺りは
僕がダメなインターネットを知っているせい。
お店の看板としては「コーヒー&パブ 百万$」が正式名称みたいですね。
「結婚式の2次会」「パブ」「女子会」と文字が躍っていますが
ここで結婚式の2次会や女子会やる人って…
いらっしゃいましたら是非教えて下さい。
反対側
なかなかパンチの利いた配色でスパゲティ、サンドイッチ、ピザ、と軽食も食べられますよと書かれています。
正面
「初音ミク」
「聖女純子」
「ヴィクトリー」
「愛は流星キラキラ光輝く未来」
「全国のみなさんありがとう武史」
エトセトラエトセトラ…
やはり情報量が多すぎる。
よくよく見ると、ナニコレ珍百景やらテレビ番組の文字も。
これも後からマスターに聞いた話ですが、結構テレビで紹介されているらしいです。
テレビはさほど見ないので知らなかったですが、
どうやらここは珍スポット・B級スポット好きの中ではかなり有名なお店のようです。
いやぁ…世の中知らない世界が色々ありますね。
中へ潜入
到着時刻は16時30分頃。
友人Mは既に引いていましたが、来た以上は入らねば!って事で意を決して突入。
なかなかの勇気が求められる。
中に入るとこれまた様々な写真やら掲示物が目に飛び込んできてギョっとします。
店内からスタジャンにハットのオシャレなおじいさんが。
お店のマスターです。
マスター「よく来たね、いらっしゃい!」
僕「あの、営業時間大丈夫ですか?」(看板には朝9時~5時と書かれていた)
マスター「大丈夫、どうぞどうぞ。靴脱いで上がってね」
店内は絨毯が敷き詰められて土禁のようでした。スリッパもありましたが、僕らは靴下のまま上がらせてもらいました。
僕「あの、店内の写真撮っても大丈夫ですか?」
マスター「ええよ、この店は色々とフリーだから。ネットに載せてもいいし」
僕「ありがとうございます!」
なんと器の大きい事か。
店内も括目せよ
「カラオケ喫茶」となっているだけあって、歌うスペースにはミラーボールやら照明。
カラオケは1曲100円だそうです。
目を引く竜の絵もマスター作。
中にもタカラジェンヌの絵が。
店内はなんともレトロな雰囲気漂う空間。赤いソファが並んでいて意外と奥行きがあります。
奥の方はカウンター席。
外観の「初音ミク」といい、やたらとボーカロイド推しなのが気になる…
理由は後ほど判明します
来店者と思われる人の写真と、マスターの描いた絵がこれでもかと飾られています。
フェルメールの名画の模写や
フィギュアスケートの浅田真央選手。
上手いです。
僕らの前に1組女性2人の先客が来ていました。
「これ、どうぞ」とノートを5、6冊渡されたので見てみると、来店者が色々書き込んでいるようでした。見る限り、日本だけでなく海外から来てる人も。すげぇ。
サービスしすぎ
メニュー表を撮影するのを忘れてしまいましたが、僕と友人Mがオーダーしたのは「ブレンドコーヒー」500円。
で、届けられたのが
※シュークリームの奥にはバナナもあります
サンドイッチに三色団子、大福、チョコパンの夢のコラボ
撮り忘れましたが、スイカまで出てきました。
名古屋、岐阜のモーニング文化は最近かなり全国的にも浸透してきた感はありますが、
このお店は凄すぎる。
500円で引くほど出てきます。完全に採算合ってないだろ…
こんな表示をしておいて
マスター「ちょっと歌っちゃおうかな」
いきなり歌い始めたりと色々フリーダム。
しばらくすると、先に来ていた女性客も帰るって事で写真撮影を頼まれたり。
色々とアットホームすぎ。
その後、「どこから来たの?」という話から、マスターの身の上話マシンガントークが始まりました。
パブレスト百万ドルの秘密
マスターのタケシさんは今年で75歳になるそう。全然そんな風に見えなくて驚きました。
外観の「全国のみなさんありがとう武史」の「武史」はマスターのお名前みたいです。
25歳でこのお店を始めたとの事で、今年でなんと50周年。
ただ、初めはこんなお店ではなく、ウナギを焼いていたんだとか。
それが当たって店を拡大、店をカフェに切り替え、2店舗を運営していた時期もあるそうです。
絵を描き始めたきっかけも教えてくれました。
「純子」と「ゆうき」
マスターが40歳の頃、20歳ほど年の離れた「純子」という女性がアルバイトにきたそうです。
紆余曲折を経て、マスターが56歳のとき純子さんとの間にお子さんができたそう。
左に写っている女性が「純子」、右の写真が「ゆうき」※掲載許可は頂いてます
歳を取ってから出来た子ということもあり、たいそう可愛がっていたそうですが…
あるとき、純子さんが突然
「あなたを愛しています」
と普段と違った様子で言ったあと
ゆうきくんを幼稚園へ送っていくと言ったまま帰ってこなくなってしまったとか。
待てど暮らせど帰ってこない2人に落ち込んだマスターは、しばらくかなり荒れた生活をして、店舗経営で儲けたお金も使ってしまったそう。
それからしばらくして、店の屋根をペンキで塗っていた時のこと、ふとゆうきくんを思い出して絵を描いてみたそうです。
すると、これがなかなか上手くいったらしく「こりゃ何でも描けるぞ」とキャンバスを店の外観にまで広げて今に至るとの事。
学生時代は教師にも褒められ、美術系を志したそうですが、親に「そんなもんで食っていけない」と反対されて以来描いてなかった、と仰ってました。
ゆうきくんを描いた作品
ちなみに、水彩っぽいタッチなんですが、これらはなんと、ペンキで描かれています。もうなんかめちゃくちゃだけど凄い。
その他にも
- 龍の絵を3枚書いたが、書いてから神のお告げのような夢を見るようになった話
- 嫁が出て行ったあと、バラ園の娘が押し掛け女房のようになった話
- 行きつけのフィリピンパブにスーパーの惣菜を差し入れしまくって怒られた話
など、様々なエピソードを教えてくれました。
神のお告げを見るようになった龍の絵のうちの1枚
マスター「息子はよ、もう13年は会ってないんだが今頃高校を出た年齢なんだよ。会いてえなぁ」
と語る姿はちょっと寂しそうだったのが印象深かったです。
マスターの凄いところは、
「このお客さんは千葉から自転車で3日かけてきてくれた人」
「この子は医大生で、岩手から」
「この人たちはスイスから来てくれたんだよ」
と、写真を飾ってあるお客さん一人ひとりをバッチリ覚えてるんですよね。
変わったお店には変わった人が集まる(失礼)のか、いちいちエピソードが面白いんですけど、とにかく人が好きなんだなあと伝わってきました。
「ナニコレ珍百景」で紹介されるまで、あまりの怪しさにほとんどお客さんが来なかったらしいんですが、紹介されてからは世界中からお客さんが来るようになって手が回らなくて大変だ、とも仰ってました。
遠路から来て、泊まっていったお客さんも一人や二人じゃないらしい。
そして、お店の外観についても聞いてみました。
僕「あの外の色々な文字は何なんですか?」
マスター「あれはよ、好きなものとか過去にあったこととか描いてるんだよ」
例えば
この唐突なYouTube。
これはマスターの話を録画した人が、YouTubeに動画をアップした記念だし
「きゃりーぱゆぱみ(元文ママ)」「ゴールデンボンバー」は好きだから描いたもの。
「聖女純子」は出ていってしまった奥さんの事。
息子の「ゆうき」は至るところに書かれています。
このバックベアードみたいなのは初音ミクだそうです。
※参考:バックベアード
初音ミクの痛車で来店したお客さんが来た記念だとか。発想がハンパねぇ…