過去、Xのギタリストであるhideについて言及した記事をいくつか書いたことがありますが、彼の所属している「X JAPAN」についても僕は大好きです。
hideの死後に彼らを知ってファンになったとはいえ、そんな僕ですらファン歴が15年ほどになるレベルで長い期間、音楽業界で存在感を示し続けてきたモンスターバンド「X JAPAN」。
そんな彼らのドキュメンタリー映画が公開されるという事で、公開初日である本日、さっそく観てきました。
ドキュメンタリー映画「WE ARE X」とは
X JAPANの封印された歴史を描く、
ハリウッドが制作した禁断のドキュメンタリー映画、ついに日本解禁!
世界への挑戦、脱退、解散、HIDEとTAIJIの死、Toshlの洗脳 ――そして復活。
どんな脚本家も描けない、あまりにも壮絶な真実の物語。米アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した映画『シュガーマン 奇跡に愛された男』の製作陣が選んだ次なる伝説的ミュージシャンは、日本のロックバンド<X JAPAN>。ドキュメンタリー映画で多くの実績を持つスティーヴン・キジャック監督の手により、彼らが歩んできた比類なきストーリーが感動的に描かれ、2016年1月には米国・サンダンス映画祭で最優秀編集賞を受賞、3月にはSXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)でデザイン部門観客賞を受賞するなど、これまですでに世界20以上の映画祭にも出品され、世界中のマスコミや評論家からも高い評価を獲得している。
世界への挑戦、脱退、解散、HIDEとTAIJIの死、Toshlの洗脳・・・バンドを襲ったあまりにドラマチックな悲劇の連鎖。結成後30年以上に渡って生み出されてきた、想像を絶するX JAPANの<熱狂>と<狂乱>の歴史。そこには精神的にも肉体的にも彼らが抱えてきた悲嘆と痛みがある。栄光と挫折、生と死、解散と復活。日本の音楽シーンの頂点に君臨する彼らの挑戦の軌跡-。マディソン・スクエア・ガーデン公演での舞台裏を追いながら、クライマックスには息をのむ圧巻のステージが待ち受ける。『WE ARE X』はこれまでにない近さで、心に深い傷を負いながらも走り続ける彼らの光と闇に迫る。
日本が世界に誇る唯一無二の“怪物”ロックバンド。なぜ今、X JAPANの音楽と物語は世界を熱狂させるのか。HIDEとTAIJIの夢。逆境に立ち向かい乗り越えてゆく使命感と覚悟。
今、世界中が共感する物語が、ここにある。
音楽で世界を変えた7人の男たち。彼らの名は―
イントロダクションの見出しから既にカッコいいんですが、 なんとこのドキュメンタリー映画、ハリウッド制作です。
既に世界20か国以上の映画祭で公開され、遂に日本上陸という格好。
(僕も含め)Xのファンというのは、彼らをある種偶像崇拝しているというか、過大評価ぎみなのかな?と思うことも無くはないんですが、制作陣から見て「海外のバンド」であるX JAPANがどのような形で映像になっているのか非常に興味深いな、というのが視聴前に思った事でした。
特にToshlの洗脳騒動についても触れているというのはかなり踏み込んでますし、どのように描写されるのか、とても気になりましたね。
日本ですら、洗脳騒動についてしっかりと語られたのは再結成後、しばらくしてからToshlが本を出版するまでは不明な部分も多かったくらいですし。
「金スマ」での放送は今でも衝撃的だったので、記憶にしっかり残っています。
Toshlの洗脳の件だけでなく、HIDEとTAIJIの死、解散と復活などなど、X JAPANというバンドの逸話は創作なんじゃないのかというレベルでたくさん存在しますが、それがどのように映像化されているのか、 期待と不安が入り混じった感覚のまま、劇場に向かいました。
映画「WE ARE X」の感想
近所の映画館では初回上映となる時間に観に行きました。
物販コーナーには明らかに同士と分かる出で立ちの方々がグッズを物色していてなかなか異様な雰囲気でしたねw
“現在”と”過去”
映画は、2014年にアメリカ・ニューヨークの「マディソン・スクエア・ガーデン」で行われたコンサートの裏側に密着しつつ、メンバーのインタビューからX JAPANの歴史を紐解いていくという構成。
大勢のメディアとファンに囲まれる華々しい姿から始まるわけですが、
コンサートに向けたラジオ出演の際に、バンドの歴史を尋ねられ、その中で「ボーカルが洗脳された」とYOSHIKIが話す場面が割と冒頭にあって非常に驚きました。
映画では、Toshlの洗脳についてもかなり踏み込んだ内容まで収録されています。
そこから語られるXの歴史。
「Xの前とXの後」で明らかに違う。歴史を塗り替える存在だった、という表現は冗談にも聞こえるけどやっぱり本当なんだなと、当時の映像を振り返りながら確かに感じる事ができます。
初見の映像も多く、これだけでも価値あるものでした。
幼少期のYOSHIKIについて話す、YOSHIKIの母親も音声で出てきたのにも驚きました。
メンバーについて
各メンバーについても、YOSHIKIであったりToshlであったり、各々が他のメンバーを語るシーンがあって凄くグッときました。
僕が特に好きだったのはYOSHIKIとToshlが楽屋で談笑しているカット。
洗脳の件について踏み入った話のあった後で、2人が中学の頃の教師がどうだった、だのそんな昔話を笑いながらしているんですよ。
あんなに長時間、自然に話す姿が見られたのは嬉しかった。
2007年、再結成の話が出てきたその段階では、まだ洗脳されていた団体からの指示で動いていたのだと明かされた上でのそのシーンは、2人が昔に戻れたんだと分かり自然と笑みが零れましたね。
HIDEについてはやはり多くの尺を取っていました。
亡くなった当時の国内、海外での報道映像や、「LAST LIVE」直前、スッピンで関係者にサインしながら「身内からこんなこと(サイン)を頼まれると解散ってやっと実感する」なんて話しているシーンなど、見たことのない映像も多かったです。
TAIJIについても、YOSHIKIとToshlで墓参りをする場面が収められています。
「いつも(墓参りに)来るとすげぇ突風が吹いたりして、TAIJIが怒ってるんじゃないか(笑)」なんて話していたのが印象深かったですね。
最初の海外進出から、長引くレコーディングにToshlが反発、溝を生み、その後団体に洗脳され解散を迎える。「新たなX JAPANを」と意気込んでいた矢先のHIDEの死と、出来事を羅列するだけでもあまりにドラマチックな内容だけに時間があっという間に感じました。
カリスマ的人気を誇る彼らの人間味を感じる要素の数々に、今まで以上にX JAPANというバンドが好きになる映画でした。
一度は失敗したアメリカでの成功の夢。そこに収束していくラスト。
ドキュメンタリーとしても、エンターテイメントとしても非常に完成度の高い映画になっていたと思います。
映像について
過去の映像こそ当時のものを使っているので当然荒いのですが、写真にエフェクトを掛けたようなものであったり、般若の面や武士の斬り合いのシーンを演出で入れるなど、インタビューのシーンでも趣向が凝らされていました。
日本的な要素を多少目につくレベルで使用しているのはやはり制作陣が日本人ではないからでしょうか。
しかし、ただインタビュー動画を流しているだけというものではない、”映画”としての要素を感じる事ができたように思います。
X JAPANを知らない人でも楽しめそう
ドキュメンタリー映画自体が、知らない人にでも分かりやすく魅力を伝えるものだとは思いつつも、知らない人が観ても感情移入できるような仕上がりだったように感じました。
これは監督を務めたスティーブン・キジャック氏もまた、X JAPANやYOSHIKIについて知らない所から制作していたのが一因だったと思います。
映画のパンフレットにはYOSHIKIと監督、ともにインタビューが掲載されていますが”知らなかったからこそ”という旨の記述がされていました。
来場者特典
週替わりで3週連続入場者プレゼント!とのことで、第一弾はステッカーでした。
パンフレット
あまりにも映画が良かったのでパンフレットを購入して帰ってきました。
赤・青2種類のスリーブが選べるようになっていましたが、僕は青を選択。
価格は2000円です。
映画内でのカット集
YOSHIKIへのインタビュー。
「もうすぐ」と言い続けているニューアルバムについても言及されています。
監督へのインタビュー。
サウンドトラック
映画公開と同時に、サウンドトラックもリリースされています。
日本盤
赤いパッケージの日本盤。日本盤には限定ボーナス・トラック2曲付きで2CD/Blu-spec CD2仕様。
映画のエンディングで流れる新曲「La Venus」(Acoustic Ver.)も収録されています。
ボーナストラックは
- Rusty Nail (From Dahlia Tour Final ~無謀な夜~)
- Forever Love (From the Last Live)
となっています。
輸入盤
青いパッケージの輸入盤。パッケージ的にはこっちの方が個人的には好みですw
日本盤のボーナストラックを抜いた14曲を収録。
DVD・Blu-ray
2017年3月3日現在、Amazonでは輸入版のみが商品登録されている状態です。
最後に
あまりにも濃厚な96分で、うまくまとまらないところもありますが、本当に観に行ってよかったと思えた映画でした。
映画パンフレットの中で、21年ぶりのニューアルバムに対し
80年代から彼らを追い続けてきたファンと、80年代に生まれていなかったことを悔やんでいる世代が同時に手に取ることのできるもの。そんな信じ難い出来事が、おそらくはごく近い将来、訪れることになるのだ。
と綴られていましたが、この「WE ARE X」という作品についても、様々な世代、そして人種や国を超えたファンが同時に分かち合う事のできる素晴らしい映画だったように思います。
X JAPANのファンにはもちろん、知らない人にもおすすめしたい映画です。
オマケ
上映時間を「3ART OF LIFE」分とか言ってる人居て草
— yamapi (@yamapi33) 2017年3月3日
※「ART OF LIFE」=約30分の楽曲
おわり